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- 2021年5月14日掲載 : 個人金融資産が過去最高 相場上昇で株は売り投信は買い
知りたい投信 なるほどリッパー : 2021年5月14日
個人金融資産が過去最高 相場上昇で株は売り投信は買い
2000兆円が目前となった個人の金融資産残高について解説した。内訳を見ると、現金・預金の残高が増加し、投資信託の残高も前年比5.1%増加した。また、投資家の動向を見てみると、株式は売り越し、投信は買い越しであった。
個人金融資産が過去最高 相場上昇で株は売り投信は買い
日本の個人金融資産残高は、2000兆円が目前となりました。日本銀行の「資金循環統計」では、3カ月ごとの家計、企業、政府、海外部門の資金の流れと残高の状況がわかります。
日銀が今年3月に公表した2020年12月末の速報値では、家計部門の金融資産は1948兆円になり、過去最高額を更新しました。19年末と比べた増加率は2.9%で、54兆円増えています。このペースが続くと、今年の年末には2000兆円に届きそうです。
金融資産からローンなどを引いた純資産残高は、1597兆円でした。ローンの残高も増加傾向で、20年末は前年から11兆円増えたため、純資産残高の伸びが41兆円に抑えられました。
個人の金融資産が増えた要因の1つは、現金・預金の残高が4.8%増えたこと。49兆円の増加です。コロナ禍で、すぐに使えるお金を置いておこうと考えた人が多かったのでしょう。また、世界的な株価上昇で株式や投資信託の評価額も上がり、投信の残高は前年比5.1%増加しました。
家計が保有する投信の残高は78兆円で、金融資産に占める割合は4%でした=半円グラフ。近年は4%前後を維持しています。投信の割合が最も高かったのは、15年6月末の4.7%。毎月分配型投信が大ブームで、毎月分配型の純資産総額もピークの時期です。当時の個人金融資産は1767兆円でしたが、投信残高は83兆円に上りました。
興味深いのは、昨年の家計部門で、株式の投資家と投信の投資家とでは、異なる行動をしたことです。棒グラフは四半期ごとの上場株式と投信の取引の結果で、購入金額と売却金額の差額を示しています。
19年1~3月期から7~9月期までは、株式と投信はともに売り越し。コロナ・ショックの時期を含む20年1~3月は、世界中で株価が急落し、荒れる相場で株式の購入額は売却額を大きく上回りました。その後、年末にかけての世界的な株価上昇は記憶に新しいところです。10~12月は、株式が2.9兆円の売り越しとなりました。
一方、投信は1~3月期こそ売り越したものの、月日が経つにつれ、徐々に買い越し額が膨らんでいます。10~12月期は差し引き0.7兆円の買い越しで、3四半期連続の純流入となりました。若い世代の積み立て投資や、長期投資をめざして投信を購入する人が増えているためと考えられます。