知りたい投信 なるほどリッパー : 2022年4月5日

リッパー・ファンド・アワード2022ジャパンより ②債券部門の受賞ファンド

本年度の「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2022」の債券部門について、主要な分類である「「債券型 グローバル 日本円」と「債券型 日本円」を取り上げて解説した。また、受賞ファンドが高い収益率をコンスタントに維持できているかどうかについても検証を行った。

リフィニティブ・ジャパンでは、2022年3月24日に「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2022」の受賞ファンドと受賞運用会社を発表しました(掲載はこちら)。前回のコラムでは、アワードの評価方法や最優秀会社賞をご紹介しました。今回は、投信の債券部門で受賞した、主なファンドをご紹介します。

I. 同じ投資対象の中で、最も優秀なファンドを表彰

一口に「債券型投信」と言っても、投資対象はさまざまです。投資する市場によって運用結果が異なるため、同じ投資対象分類内で比較する必要があります。アワードで対象とする期間は、3年、5年、10年。この期間において一貫したリターンが継続しているファンドを表彰します。

リッパーでの投資対象分類は、投資する地域や対象、さらに債券の額面の通貨で構成されています。投資地域は、グローバル(全世界)、日本、北米、エマージング(新興国)など。債券の場合の投資対象は、社債、ハイイールド、短期債などがあります。通貨には、日本円、米ドル、ユーロ、豪ドルなどがあります。

「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン 2022」では、2021年12 月末時点において日本で販売登録され、36 ヵ月以上の運用実績があるファンドを評価対象としています。

II. 主な分類別受賞ファンドの紹介「債券型 グローバル 日本円」

債券部門で評価対象のファンドの数が最も多い分類は「債券型 グローバル 日本円」。投資対象地域が全世界で、円建ての債券のファンドのカテゴリです。この分類で評価期間3年の対象となったファンド本数は242本。5年は207本、10年は122本です。この中から最優秀ファンド賞を受賞したファンドは、次の通りです。

【 3年】ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンド(三菱UFJ国際投信株式会社)

【 5年】三菱UFJ グローバル・ボンド・オープン(年1回決算型)(三菱UFJ国際投信株式会社)

【10年】ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンド(三菱UFJ国際投信株式会社)

III. 主な分類別受賞ファンドの紹介「債券型 日本円」

次に評価対象の本数が多い分類は「債券型 日本円」です。国内の円建て債券を投資対象とする投信です。この分類で評価期間3年の対象となったファンド本数は51本。5年は48本、10年は33本です。この中から最優秀ファンド賞を受賞したファンドは、次の通りです。

【 3年】ノーロード明治安田社債アクティブ(明治安田アセットマネジメント株式会社)

【 5年】ノーロード明治安田社債アクティブ(明治安田アセットマネジメント株式会社)

【10年】明治安田日本債券オープン(毎月決算型)(明治安田アセットマネジメント株式会社)

IV. アワードでの優秀ファンドの評価基準

「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード」では、投信の評価基準に、「収益一貫性(コンシスタント・リターン)」という尺度を用いています。この尺度は、「Lipper Leader Rating (リッパー・リーダー・レーティング)システム」の4つの評価尺度のうちの1つです。一定期間内に、継続して一貫したリスク調整後リターンが得られることを評価の基準にしています。

つまり、リッパーのアワードでは、「収益のブレが小さく、安定している投資信託」が優秀な投資信託とされます。複数の投資信託を比較する際、同じ期間の運用で最終的に同じ収益率だったとしても、途中経過が安定していた投信を「優秀」と評価するのです。

V. 受賞ファンドを分類平均と比較

では、受賞ファンドが高い収益率をコンスタントに維持できているかどうかを見てみましょう。債券部門の中でも、比較的価格変動リスクが高いといわれる分類の期間5年の受賞ファンドについて、年間騰落率を分類内平均と比較してみました。<グラフ1>は「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド(資産成長型)」(フィデリティ投信株式会社)、<グラフ2>は「成長国高金利債券ファンド(毎月決算型)」(大和アセットマネジメント株式会社)です。

理論上、期間内に良い年と悪い年のバラつきがあると、収益一貫性の評価は低くなると考えられます。年間騰落率と収益一貫性の算出方法は異なるため、単純比較は無理がありますが、おおむね分類内平均騰落率を上回っていることがわかります。

VI. ファンドの「良さ」は投資家の好みによる

資産形成や投資において、「高い運用益が得られること」が良い運用の判断基準と思われがちですが、必ずしもそうとは言えません。投資家が「良い」と判断する基準はいくつかあります。

例えば「高い運用益」の他に、「安定収益」「分散投資が優れている」「リスクが低め」「コストが安い」「成長が期待できる市場」などが挙げられます。すべてを完璧に満たす運用は無いに等しいので、そのうちのどれかを重視し、どれかを妥協するのが現実的です。どの基準を優先するかは、投資家の好みによるでしょう。

「Lipper Leader Rating (リッパー・リーダー・レーティング)システム」では、アワードの表彰基準である「コンシスタント リターン (収益一貫性)」の他に、「総合収益性(トータルリターン)」、「元本保全性」、「経費率」という尺度があります。いずれも分類内のファンドとの相対評価で、客観的に優劣を判断できる尺度となっています。

トータルリターンを重視するのか、元本の安全性を重視するのか、コストの低さを重視するのか、投資方針や資産の使い道によって、適切な尺度を参考にして頂くのが良いでしょう。アワードの受賞ファンドは、数ある評価尺度のうちの1つということを理解したうえで、判断に役立てて下さい。