知りたい投信 なるほどリッパー : 2021年8月6日

夏休み集中講義 : 1 ~どうして資産運用?お金の知恵を磨いて夢の助けに

高校生向けに資産形成や資産運用について説明する「夏休み集中講義」の1回目。なぜ金融リテラシーを高校で学ぶ必要があるのかを、高校生の先生や保護者の時代との金利や経済の状況との違いを用いて説明した。

夏休み集中講義 : 1 ~どうして資産運用?お金の知恵を磨いて夢の助けに

高校生のみなさん、夏休みをいかがお過ごしですか? 勉強や部活動をがんばっている人、夏休みだからやれることに挑戦している人、友達との時間を過ごす人、ゆっくりする人など、有意義な日々を送っていると思います。

2022年の春から、高校の家庭科や公民科(公共)の授業で、お金に関する知識「金融リテラシー」を学ぶようになります。家計の管理や将来の生活設計などは、お金もうけというよりも、暮らしの知識。私は、家事の一つだと思っています。家計のやりくりがうまくできれば、生活に必要なお金を確保できます。やりたいことの資金を計画的に準備できれば、実現しやすくなります。金融リテラシーは、みなさんの夢をかなえる道具でもあるのです。

ところで、なぜ、学校で金融リテラシーを学ぶことになったのでしょう。みなさんの先生や保護者が高校生だった時代には、お金のことを学ぶ機会はありませんでした。社会に出て、まじめに働き、一般的な生活を送っていれば、老後に必要な資金は蓄えられたからです。

民間企業で働く人の年金制度が始まったのは1954(昭和29)年。当時の平均寿命は、男性が63.41歳、女性が67.69歳で、退職後の生活資金は、数年分を準備すれば済んだのです。特別な資産形成の知識がなくても暮らせました。

また、今とはケタ違いに金利が高かったのです。グラフは、1988年2月から92年6月までの1年定期預金の金利です。最も高かった頃は、預貯金に10年預ければ、利息が元本と同じぐらいでした。預けた金額の2倍のお金が返ってきたのです。当時は、どの銀行に預けても同じ金利でした。現在は銀行ごとに金利を自由に決められますが、1年定期預金の金利は、わずか年0.01%~0.02%です。

90年ごろに金利が高かった理由は、日本の景気が良く、産業にお金が必要だったことや、資産価値がどんどん上がるバブル景気だったからです。高い金利を払ってでもお金を借りて事業を大きくしたい、借りたお金で投資をしたい、と考える企業や人々が多かったのです。お金が必要とされていたので、預貯金の金利も高かったのです。

景気が良かった時期は、働くほどに人々は豊かになり、新製品を手に入れ、売れるから新たな商品が世に出される、すると企業の利益が増える、という循環ができていました。定年まで働き、無駄遣いせず貯金をしていれば、特別な資産形成の知識がなくても暮らせたのです。

この欄では、毎月第1金曜日の朝刊で、高校生や保護者のみなさん、そして現場の先生に向けた金融の話をお届けしています。8月は夏休み特別企画として、毎週、高校生向けの内容でお届けします。

担当=DZHフィナンシャルリサーチ・石原敬子
Refinitiv(リフィニティブ)はロンドン証券取引所グループ(LSEG)傘下の金融情報提供会社です