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知りたい投信 なるほどリッパー : 2021年10月29日

東証再編で変わるTOPIX 3年近くかけて影響を抑えつつ

来年4月4日に変更になる、東証の株式市場区分変更について解説した。変更の影響を大きく受ける懸念のあるTOPIXであるが、3年近くかけて影響が小さくなるように移行する。移行の過程について詳しく説明した。​

東証再編で変わるTOPIX 3年近くかけて影響を抑えつつ

 来年4月4日、東京証券取引所(東証)の株式市場区分が変わります。日本株で運用するインデックス型の投資信託の多くは、「東証株価指数(TOPIX)」が値動きの目安。市場の再編でTOPIXはどうなるのでしょうか。

 東証の市場は、現在、第1部、第2部、マザーズ、ジャスダックのスタンダードとグロースの五つです。2013年に大阪証券取引所と経営統合した際は、混乱を避けるため、市場区分や上場基準を大きく変えませんでした。統合から10年近くが経過。市場ごとの特徴を明瞭にしようという機運が高まり、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編されます。

 東証の株価指標にはいろいろな種類があります。市場区分の再編で存続する指標、なくなる指標のうち、主なものは表のとおりです。

 さて、TOPIXです。しだいにインデックス運用が広がるにつれ、TOPIXも課題が指摘されるようになりました。規模が小さく、流動性が低い銘柄への影響です。

 現在のTOPIXの構成は、東証1部に上場する約2100社すべて。中には市場に出回る株式数が少ない銘柄もあります。それでもインデックス運用のためには買わなければなりません。流動性の低い銘柄を大量に買えば、株価はつり上がってしまいます。

 そこで再編後のTOPIXには「流通株式時価総額100億円以上の銘柄」という基準を設けます。多額の資金流入に耐えられる銘柄のみで算出。プライムに限らず、スタンダード、グロースの上場銘柄も基準を満たせば、TOPIXの対象になります。

 例えば、フリマアプリ大手のメルカリは、現在はマザーズ上場のため対象外ですが、時価総額が大きく、新たなTOPIXには採用される可能性がありそうです。

 銘柄入れ替えは、一気に行うと指標としての連続性が保てません。また、TOPIXから除外される銘柄を投資信託や年金資金などが一斉に売りに走ると、株価の急落を招く恐れがあります。

 そこで東証は、市場への影響が極力小さくなる方法で移行することに。再編される前営業日である来年4月1日時点でのTOPIXの構成銘柄は、基準を満たしていなくても、まずはそのままです。その後、除外する銘柄の比率を徐々に下げて、25年1月末に移行が完了します=図。